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・おひるごはん
13時30分
いつものように、僕は席を立ち
財布だけを持ってエレベーターの▽ボタンを押した。
お昼の時間だ。
しばらくすると、エレベーターのドアが
鈍い音を立てて開く。
香水と汗の混じった変な臭いがする。
無意識に呼吸を少なくした僕は、
エレベーターに乗り込むと
急いで一階のボタンを押した。
少々の間があき、ドアが閉まる。
そしてまたしばらくの間が開いてから
ゆるゆるとエレベータは下降を始めた。
とんでもなく旧式のこのエレベーターは
何をするにも挙動が遅い。
僕がどんなに早くボタンを押しても
結局は変わらないと言うことだ。
そんな老エレベーターの仕事を
早く臭いから解放されたい気持ちを抑えつつ見守っていると、
一階を少し行き過ぎた所でがくんと止まる。
そして、ゆっくりと行き過ぎた距離を戻ったあと
またしばらく間があいて、ゆっくりとドアが開く。
早く臭いから解放されたい思い一心で
僕はエレベーターを飛び出し、ビルの外へと急いだ。
今日は晴天だ。
暖かな日差しが僕を優しく包み込む。
まさに散歩日和。
のんびりと歩いて季節を満喫しよう。
ビルの前を走る二車線道路を渡ると、
いつもの商店街が広がっている。
おじいちゃんやおばあちゃんがのんびりと歩き
無数の主婦が、一円でも安いものを求めて群れをなす。
そんな商店街。
この街はまだまだ元気だ。
さてさて、今日は何を食べようかな。
商店街には、いろんな食べ物屋さんが並んでる。
ラーメン屋が三軒、中華屋が二件、魚専門店が一件に
蕎麦屋が一軒、うどん屋が二軒、和食屋が三軒
それからそれから…
あぁもうめんどくさい。
とにかくまぁ、何でもある。
何でもあるんだけど、いやあるからこそ
毎日のお昼は最高の悩みの種だ。
野菜とおばあちゃんに臭いで包まれた商店街を
のんびりと歩いていくと、僕の鼻を
焼き魚の臭いが刺激する
魚か…
その日の気分にあわないと、
どんな食べ物の臭いも嬉しくない。
魚は食べたくないなぁ。
今日は、海類はやめておこう。
しばらくすると、今度は
出汁のきいた臭いが漂ってくる。
蕎麦屋だ。
蕎麦って言うのは微妙だよな…といつも思う。
蕎麦自体は大好きなのだが、
いかんせんお腹いっぱい食べる代物ではない。
もし仮に、お腹いっぱい蕎麦を食べたとしても
それはお財布が悲鳴を上げることを意味している。
蕎麦はやっぱり、小腹が空いたときに
さっとはいって、さっとすすって、さっと出てくるのがいいだろう。
出された蕎麦を、蕎麦の風味が落ちる前に
濃いつゆにちょいとつけてすする
うーん、格別だ。
ここの蕎麦屋は、特につゆが濃くてうまい事も
僕は、過去に調べて知っている。
でも、昼に蕎麦はなぁ。
腹持ちが悪いものをたべると、
結局夕方の間食が増え、カロリーと出費がかさむ。
それは避けなければならない。
更にしばらく進むと、今度はラーメンの臭いが漂ってくる。
昔ながらのラーメン屋さんだ。
席はカウンターしかなく、目の前で親父がラーメンをゆでる。
隅にある小さなテレビには、いつも野球中継や競馬速報が写り
飛び散った汁がしみこんたスポーツ新聞が置いてある。
なんか勇気がいるんだよな、この手の店に入るのは…
臭いにひかれつつも、そんな理由でこの店はパス。
そのまま僕はいくつかの店を通り越し
気が付けばもう商店街の端まで来てしまった。
目の前の信号を渡れば、そこはもう駅だ。
なんだかなぁ。
食べたいものが決まっていないときはいつもこうだ。
あれこれ考えながら歩いた結果、駅前までたどり着いてしまう。
ここまできたら後は二択だ。
駅前の牛丼屋かファーストフード。
戻ってまた迷っても良いのだが、結果は一緒だろう。
空腹のまま、商店街を何度も往復するのは嫌だ。
ちっょと悲しいが仕方がない。
今日は牛丼屋にしよう。
信号渡り、駅のとなりにある牛丼屋に入る。
カルビ定食の食券を買った僕は
カウンターの一番端へ座った。
牛丼屋でカルビ定食。
牛丼好きの人から見ればなんとじゃどうなチョイスなんだろう。
でも、僕は牛丼屋の牛丼が嫌いだ。
嫌いな理由はあの肉。
どうにも出汁をとった後のカスを食べている感じがする。
そんな訳で牛丼屋に入っても僕は定食しか頼まない。
そういえば、山形の牛丼屋は米沢牛を使っていて
旨いといっていた人がいたが、そんなことあり得るのだろうか。
チェーン店なのに。
程なく定食のご飯とみそ汁、それにサラダが出される。
メインの肉はまだの様だ。
カウンターに置かれたドレッシングを
サラダにこってりとかける。
誰が見てもやりすぎだろうというほどかける。
サラダがドレッシングでビチョビチョになった所に
タイミング良くメインの肉が出され、
僕はそれにも、これでもかと言うほどタレをかけた。
我ながら塩分の取りすぎだなぁとおもいつつ、
端から肉と野菜とご飯とみそ汁をかっ食らう。
所要時間約5分。
水をぐいっと飲み干して、今日の任務は完了だ。
さっと店をでて、帰りの信号を待つ。
ふう…
この手のご飯は、お腹は膨れるけれど
やっぱりちょっと悲しいよね。
商店街をとぼとぼ歩きながら僕は、
なんだかとっても侘びしい気持ちで
いっぱいになりながら、こんな事を考えていた。
明日は何食べよう…?
※註
私は普段おかーさまのお弁当持参。
外に食べにいくことはありません。
なにを妄想してるんでしょうか、私は…
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