男は制服によく似た青い服を着ていて、きみはそれが背広(スーツ)というものだと知っている。
光沢のある背広(スーツ)は光の加減で様々な具合の青色に見える。
表面には、放射状に八本の矢の生えた模様が浮き上がって見えるような気がするが、 薄暗い曇り空の光の引き起こした目の錯覚かも知れない。
黒くなめらかな革のベルトに太刀が挟んである。鞘は漆塗りのようだが、何か未知の深い青色をしているので確信はない。 合成樹脂(プラスチック)のような 合成製品には見えないし、そもそも現在の技術では合成樹脂(プラスチック)を再現することはできないだろう。
装束も印象的だったが、腕を組んで扉にもたれかかっている中身のほうがもっと印象的だった。
どうやら顔立ちの整った青年の顔をしているが、その瞳は途方もなく歳月を経た邪悪な智恵を持っている。
表情は微笑んでいるようだが、そもそも顔立ちというものが、少しでも目を離すと思い出せないが 見ている間は忘れようがないほどの強烈な印象を与えてくる――というしろものなので、 はたして好意で微笑んでいるのか悪意で微笑んでいるのか判断が付かない。
ただ、彼の顔には一種嫌悪感を催すほどの美が存在していることだけは確かだった。
男は静かに君を見ている。

問答無用で彼に飛びかかるなら3へ進め
しばらく様子を見てみるなら4へ進め